街角で非童貞に遭遇する-後編

こんばんは。
はちきれんばかりの性欲が魅力の童貞です。
でも、そう若くないので一回ポッキリです。
それはともかく、「街角で非童貞に遭遇すること」後編です。

さて、童貞の数少ない必殺奥義「カマカケ」を発動した俺は、
すでに自分の圧倒的な駆け引きと話術に酔いしれていて、
正直彼女の返答までは頭が回ってなかった。
この調子で3ヵ月後には「カリスマナンパ師」として
一躍マスコミデビュー。
CMとかドラマとかに引っ張りだこ。
俺的には
「いやぁ、土曜日はもう、カズミ(脳内セフレ)とヨシコ(脳内セフレ)とデートだから、
今回はごめんね。また誘ってよ、ユキちゃん(脳内セフレ候補)」
みたいなめくるめくセックスライフが始まっていたわけ。
今思うと、うっかり口に出してしまっていなかったか、心配でならない。

そんな時、どこか遠くで聞き覚えのある声。
「…ですよ〜」
そう、関脇(仮)だ。
彼女の存在をすっかり忘れてすでにあっち側の住人となっていた俺は、
うかつにも彼女の返答を聞き逃した。
しかもついさっきまで明るかった彼女の表情が
なぜか一気に暗くなっているときた。
焦った俺は、パニック状態の中聞き返そうととっさに口走ったね。
「…わ、ワンサゲン、プリーズ?」
と。
いついかなるときでもグローバルスタンダードを忘れない姿勢は買うが、
少なくとも今は不適切です、俺。
さすがにこの失敗は取り戻せない。
あからさまに機嫌の悪そうな人間に対して、
完全に馬鹿にした物言い。
思わず車道に飛び出て事故死しようかと思いつめたよ。

が、奇跡は起きた。
関脇(仮)爆笑。
俺になぜか笑いの神が降臨。
「もう、わけわかんないですよ〜、先輩、人が落ち込んでたのにぃ(笑)
だから、彼氏とは昨日喧嘩して、別れちゃったんです」
俺はこのとき「九死に一生を得る」という言葉の意味を知ったね。
相手が相手ならすでにこのとき俺はボコボコに殴られてたはずだ。
そして、大チャンス!!
「恋人と別れたばかりの女の子は、落ちやすい」と、
確か昔読んだホットドッグプレスに書いてあった!!
もう俺は自信満々だったね。
この時点で勝利を確信していたよ。
さすが秘儀「カマカケ」。
そして、この瞬間彼女の大関昇進が
俺の中で満場一致で決定していたのは言うまでもない。

出会い頭の2回にわたる爆笑(偶然)で、
すでにがっちり新大関(仮)のハートをキャッチしていた俺は、
そこからは無敵の快進撃。
一緒にカラオケ行ったり(他に店を知らないから)して夕方まで過ごし、
そのまま近くの飲み屋に誘い込むという歴史的快挙を成し遂げる。
ホットドッグプレス情報は嘘ではなかった。
ありがとう、講談社。

が、いい雰囲気の中二人で話をしているときに悲劇は訪れた。
彼女の携帯が鳴ったのだ。
「あ、すいません」とか非常に可愛く言って、
携帯を取り出した瞬間に彼女の表情が変わるわけ。

俺は動揺を隠しつつ訊ねるわけ。
「誰?」
「・・・元カレです」
出たよ。
今回はこれですか、神様。
いい加減僕にもオチが読めるようになってきましたよ。
もうこうなったら、いっそ今すぐ彼女の携帯を破壊して、この場で無理やり・・・
と危険な考えをめぐらしていたそのときだ。
ピーピー、と短い発信音。
そう、なんと彼女は携帯の電源を切ったのだ。
湧き上がる感動と下心を、必死で抑えながら
「いいの?」
と聞くと、
「もういいんです。終わったことですから・・・」

   勃   起   。

可愛すぎる。
そして、喰ってしまうには十分な条件が揃いすぎている(多分)。
俺はすぐさまトイレに駆け込み、抜いたよ。
激しい射精が終わったときには、
彼女の新横綱昇進が、協議にかけるまでもなく決まっていたね。


そんなわけで、すっかりいいムード(多分)で飲み屋を出る。
しかし、ここからが正念場。
ここで、「それじゃ、またね」なんていって別れてしまっては、
せっかくのこのチャンスを無駄にしてしまう恐れがあるのだ。
いや、別にこれをステップにまたデートに誘えばいい、
というのが正論なのだが、
すでに暴君と化していた俺のJr閣下は、
そんな善良な一市民である俺の考えを許してはくれなかった。
閣下は大変お怒りだった。
汗だくだった。
一旦そうなってしまった閣下はもはや誰にも止められないのは、
貴様ら非童貞もわかってくれるはずだと信じている。

もちろん、実際にどうやって誘えばいいものか
童貞の俺にはさっぱりわからないわけだが。
が、この日の俺は冴えていた。
ドラマやマンガでよく見るあれだ。
「送っていくよ」。
女の子の夜の独り歩きを心配するという建前を武器に、
そのまま童貞の知らない世界にまで送っていこうという下心を匂わせる、
童貞の奥義の中でも、俺がまだ一度も使ったことのない大技である。
そうすると、新横綱は酒のせいかそれとも照れなのか、ほほを赤く染めて、
「ありがとうございます」とか言うわけだよ。

以下、彼女の家まで行く間の出来事は、
興奮のあまり覚えていないので、割愛させていただきます。

さて、そんなこんなでいよいよ彼女の家の前まで着いた俺。
が、ここで手詰まり。
これ以上高度なテクニックは、
ブロンズ童貞の俺では小宇宙(コスモ)が足りない。
もう、俺の馬鹿!
ここでドラマやマンガだったら、
「お茶でも飲んでいきませんか?」
みたいな話になって、後は流されるまま愛欲の・・・
ああああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!(;´Д`)ハァハァ
などという妄想を独り膨らませていた俺は、そのとき耳を疑った。

「…ちょっとよっていきますか?」

本当に言ったよ!!
てめえ、本当に新横綱(仮)本人か?
ハリウッドの特殊メイクで作った人形とかじゃないよな?!
つーか、入ったらチャージ5千円です、とか言い出すんじゃねえの?
騙されねえぞ、俺は。
とりあえず乳もんでいいか?
そんなあふれる思いにフリーズしかけながらも、
俺はどうにか、「…うん」とやけに可愛く答えていた。

彼女の部屋までの階段を登る俺。
もはや緊張のあまりうまく登れない。
と思ったら、股間が突っ張ってるのが原因と判明。
が、もはやそんなことネタにするほどのことではない。
もうゴールは目の前まで迫っている。
そして、彼女の部屋の前まで到着。

…とそのとき、俺の視界に何か異物が入り込んでいる。
この場に決してあってはならないものが、だ。
それを目にした瞬間、新横綱(仮)絶句。
そう、このダンジョンのラスボス、元カレだ。
「・・・押しかけてごめん。どうしても話がしたくて」
と言い寄る元カレ。

が、もはや俺は慌てることはなかった。
正確には、内心かなり焦っていたが、どうにか平静を装った。
なぜなら、今やすでに「彼女は飲み屋でこの憎い男の電話を着信拒否した」
という既成事実があるからだ。
そして、漏れの期待通り、彼女は言い放つ。
「もう話すことなんかないよ!帰って」
と言うか、ドラマみたいなこと実際にやるんだ、この人たちは、
とか思いながら、小心者の俺は情けなくただ傍観。


そういうわけで、多少の押し問答はあったものの、
新横綱(仮)は譲らない。
そして、ここで元カレ、伝家の宝刀のあのセリフをついに吐く。

「本当、お前のことが好きなんだよ!それだけは嘘じゃないから・・・」

出たー!!
もう俺、笑いをこらえるのに必死だったね。
こんな状況でそんなクサイセリフ(しかも俺もいる場で)、
効くわけねえだろうが、バカが!(藁
その捨て台詞をあとに颯爽と部屋に入って行く俺たち・・・

と思った瞬間、新横綱(仮)、
「…本当に?」

効いてるよ!!
それ本当にアリなのかよ?!
一気に形勢逆転。
その後、「本当だって。嘘なわけないだろう」
とかどこかで聞いたことのあるような問答の末、
新横綱(仮)は俺に言ったね。
「ごめん、それじゃ、悪いけど帰って」
さっきとは随分口調が違いますね。
ああ、帰ったよ。
「雨降って地固まる」って言葉の意味をかみ締めながら。
その夜、長い長い協議の末、新横綱(仮)の引退が決まりました。

そういったわけで、今回の童貞の主張は、
「カップルでいちゃつくのはかまわないが、童貞の純情を踏み台にするな」
ということです。

ご清聴ありがとうございました。


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