バレンタイン-後編

さて、高校時代の苦い思い出に、やり場のない怒りをかみしめつつ、
今年もまた
チョコレートメーカーとベルギー王室主催のイベントの時期がやってきたわけだ。

俺がささやかな夕食を採ろうと
コンビニへぺヤングソース焼きそばを買いに出かけると、
店内の一番目立つ棚にやたらと凝ったラッピングのチョコが陳列されていたりして、
なんかもう一面ピンク色。
ハートマークとか垂れ流し。

お前、それチョコよりまわりに敷き詰められた紙くずの方が多いじゃねぇかよ。
それちゃんと再生紙使ってるのかよ。
地球に優しいのかよ。
少なくとも俺には優しくねぇよ。

で、毎年この時期になると、俺の周りのイケメンどもは
例によって浮き足立って、前述のような遠まわしな嫌がらせをしてくるわけだ。
クリスマスといい、バレンタインといい、キリスト教はろくなことしねえな。
仏教見習え、このフリーセックス集団が。
まあ、いい歳して街角でそんな筋違いなことを言っていると、
そういう団体だと思われたり、
おまわりさんたちにお話を聞いてもらわなければいけなくなるので、
あくまで心の中だけで思って、善良な一般市民として振舞うわけだが。

さて、俺もいい歳なので、さすがに誰かにチョコを渡しておいて、
などとふざけた依頼を受けることもなくなり、
さらに縁遠いイベントとなったバレンタインだが、
社会が童貞を許してくれるわけではない。
ご存知、義理チョコ制度だ。

普段明らかに俺に義理などないはずの貴様らがなぜ俺に義理を売る?
特に現在彼氏のいないT。
全員に「義理だよ〜」と言いながら、
なぜ俺のはアルファベットの入ってるチョコの詰め合わせで、
松下(仮名)のは美麗なラッピング付き手作り仕様なんだよ。
義理にまでランクつけるなよ。
あと、アルファベットが「X」ばっかりなのは、何の暗号なんだ?

だが、まあその辺はまだ善良な方だ。
たちが悪いのはやはり彼氏持ちの女の義理チョコ。
要するに非童貞の一味。
おまえらな、くれるのはいい。
特にかつての俺の1番手(現某イケメンの彼女)。
その場は「どうせ義理だろwいらんよ」と強がってみせましたが、
日くらいもったいなくて食べれませんでした。
ちょっと飾ってみたりしました。
むしろ自分の中で甘酸っぱい思い出に捏造してます。
この場を借りて謝ります。ごめんなさい。

それはともかくだ。
俺だって一応義理でも内心小躍りして喜んでるわけだよ。
で、お前らが楽しくデートに向かってる間に、
お家に帰ってありがたくいただいているわけだ。
「さぁ、○○タンはどんなのだろう。ドキドキ」
とか独りでぶつぶつ言いながら
本命のやつより数段気の抜けた感じのラッピングを開けると、
時々手作りっぽいやつが入ってたりする。
叫んだよ。
「萌えーーー!!」って。
後日隣の住人に睨まれたよ。
いつか捕まるよ、俺。

で、「もしかして俺にもちょっと気があるんじゃないか?」とか
数分間にわたって妄想を膨らませたりするわけだ。
包装紙の中を執拗に引っ掻き回して、
どこかに手紙とか入ってないかと探してみたりもする。
その結果、勢いあまってそれをオカズに抜いたりもする始末。
まぁ、そんな感じで一通りの通過儀礼が終了したところで、
気持ち(とティンポ)が落ち着いたところで、いよいよいただきます、となる。

期待と淡い恋心と若干の下心を胸に、口に運ぶとだな、
次の瞬間ふきだしたよ。
なんて言うかですね、こげてます、これは。
まぁ、でも誰にでも失敗はあるし、得手不得手もあるだろうと、
ビターテイストのチョコレートを延々と食べ続けたわけです。

で、その後、そのチョコをくれた娘に会ったもんだから、
俺も一応主に下心にしたがって、
「あ、この前はありがとう。おいしかったよ」
とかぬけぬけと言うわけだ。

そうすると、彼女満面の笑顔で
「本当〜?良かった〜」
とか言うわけ。
それがまた本当に嬉しそうなのだよ。
もう俺の妄想全開。
ホワイトデーには今の彼氏から略奪可能。
お返し、ティファニーとか行った方がいいのかな?
どこにあるか知らないけど。

そしたら、本当に嬉しそうに彼女は言うわけ。

「彼にあげる予定で作ったやつなんだけど、
失敗しちゃってとてもあげれなかったから、 どうしようかと思ってたんだよね」

それは要するに、「残飯」と言うことでいいかな?
満面の笑みで「また失敗したらあげるね〜」という言葉を残し、立ち去る彼女。
今度はちゃんと捨ててくれ。

そういったわけで、今回の童貞の主張は
「バレンタインを楽しむのは結構なことだが、非童貞どもは
おいしい彼女の手作りチョコが、
童貞の屍の上に出来上がっていることをかみしめて食べてくれ」
ということです。

ご清聴ありがとうございました。

P.S.
ところで、飲み会で俺がちょっと「かわいいね〜」と言ったFさん。
どうしてみんなに配っていたはずの義理チョコを、僕だけもらえなかったんですか?


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